息長川という幻のような川について実際に認められる記述を主として、書き綴ってきた。信頼するに足りる文献はいったん挙げ尽くしたのではないかとおもう。

大阪においては今でも論争が続いているようで、私が知らない研究結果や個人蔵の文献が出てきているような話も教えて頂いた。新たに現れたような文献については研究者の目による評価に任せたい。

私は研究者という立場にないので書き手として場をつくろうと考えて『息長川ノート』を書き綴った。

息長川というのは大阪の歴史上、地誌上のミステリーにとどまるものではなく、ひろく歴史を研究するひと、詩歌を愛するひとに共有されて良いテーマなのだろうと考えている。多くのひとがこの話題に触れる機会を求めて書いたのであり、近江の息長氏研究会の高居氏と手紙をやりとりさせて頂いたり、特に注意を払われていない磯長谷を取り上げてみたりしたのはそのような意図のもと生まれたものだった。

願わくは息長川がより多くの方の知的好奇心をくすぐり新たな研究者、表現者を触発してほしい。結果として並河誠所の勇み足を過去のものとし、彼の誤謬は誤謬としてその業績が等身大に見られるように。それこそが並河誠所を寧ろ再評価へと誘うことになるであろうと考える。

つねに議論の中心となり、歴史を研究するひと、詩歌を愛するひとが、定家を語るにおいて、源氏物語を語るにおいて、大阪を訪れねば措かれぬという活況を呈し続けることに、大阪の未来はあると夢想する。

息長川についての断篇をいったん綴じるにあたっての、私の願いである。

License

息長川ノート Copyright © 2013 by Mukunoki Yasuo. All Rights Reserved.

Feedback/Errata

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です